飲食店経営ラボ

飲食店の経費管理で店長が見落としがちな3つの盲点

なぜ多くの店舗でFLコストが60%を超えてしまうのか

「売上は上がっているのに、なぜか手元にお金が残らない」

こんな悩みを抱える店長は決して少なくありません。特に個人店では、日々の営業に追われて数字の管理まで手が回らないのが現実です。

実は、多くの飲食店でFLコスト(食材費+人件費)が売上の60%を超えているという話を聞いたことがあります。これは一般的に言われる「50~60%以内」という目安を上回る数字です。

なぜこうした状況が生まれるのでしょうか。それには、店長が気づきにくい3つの盲点があるからだと思います。

盲点1:人件費の「見えないコスト」を把握していない

人件費は売上の30%以内に抑えることが基本とされています。しかし、多くの店長が見落としているのは「見えないコスト」の存在です。

ある居酒屋(20席)の店長から聞いた話ですが、表面上の人件費は28%で目標内だったそうです。ところが、よく計算してみると以下のような隠れたコストがありました。

  • 急な欠勤による残業代の増加
  • シフト調整に費やす時間の人件費換算
  • 新人教育期間中の生産性低下

これらを含めると、実際の人件費は35%近くになっていたらしいです。

では、どう対処すべきか?

まず、月次で以下の項目を記録することから始めてみてください:

  • 残業時間とその発生理由
  • シフト作成・調整にかかった時間
  • 新人スタッフの時給と売上貢献度の差

これだけでも、本当の人件費が見えてくるはずです。

FL比率を適正化する具体的な方法

FL比率の改善には、まず現状把握が欠かせません。厚生労働省の調査によると、飲食業の平均的なコスト構造は以下の通りです:

  • 食材原価:30%前後
  • 人件費:30%前後
  • 家賃:8~12%
  • その他経費:15~20%

しかし、この数字はあくまで平均値。店舗の立地や業態によって大きく異なります。

改善のための3ステップ

  1. 食材原価の見直し:仕入れ先との価格交渉、メニューの原価計算の徹底
  2. 人件費の最適化:適正な人員配置、スキルアップによる生産性向上
  3. 固定費の削減:家賃交渉、不要なサービス契約の見直し

特に人件費については、単純に人を減らすのではなく、一人ひとりのスキルを上げることで効率化を図る方が長期的には効果的だと感じています。

月末にこれらの数字をチェックする習慣をつけるだけでも、大きな変化が期待できるでしょう。

ある中華料理店(15席)が実践した経費削減の工夫

ある中華料理店でこんな話があります。そのお店では、なかなか利益が出ずに悩んでいたそうです。

「売上は悪くないのに、月末になると必ず赤字になる」

そこで、この店長が取り組んだのは「1円単位での経費管理」でした。まず、すべての支出を以下の4つに分類したそうです:

  • 必要な固定費(家賃、保険など)
  • 削減可能な固定費(通信費、清掃業者など)
  • 変動費(食材、光熱費など)
  • 無駄な出費(使っていないサブスク、過剰な在庫など)

この分析を通じて気づいたのは、「使っていないサービス」が月に3万円もあったことでした。また、食材の発注も感覚で行っていたため、廃棄ロスが売上の8%に達していました。

この店長が実践した改善策

  • 不要なサービス契約の解約
  • 週次での在庫チェック
  • メニュー別の原価率計算
  • スタッフへの原価意識の共有

結果として、3ヶ月後にはFLコストを58%から52%まで下げることができたそうです。

大切なのは、完璧を求めすぎないことかもしれません。まずは今月から、一つずつ改善していく姿勢が重要だと思います。

経費管理で最も重要な「習慣化」のポイント

経費管理で最も難しいのは、実は「続けること」です。忙しい日々の中で数字のチェックを習慣化するには、どうすればよいでしょうか。

おすすめの3つの習慣

  1. 毎日5分の数字チェック:閉店後に売上・人件費・食材費をメモ
  2. 週1回の振り返り:1週間の数字を見て気になる点をピックアップ
  3. 月末の総括:FL比率を計算し、翌月の改善点を1つ決める

特に重要なのは「毎日5分」のルールです。一度に全てをやろうとすると続かないため、小さな習慣から始めることをお勧めします。

また、スタッフにも経費意識を共有することで、チーム全体で改善に取り組める環境を作れます。例えば、月次の目標数字をスタッフルームに掲示したり、達成時にはささやかなご褒美を用意したりするのも効果的です。

経費管理は地味な作業かもしれませんが、確実に店舗の収益体質を変える力があります。まずは今夜の閉店後、5分だけでも数字と向き合ってみてはいかがでしょうか。