飲食店の採用で離職率を40%下げた面接術|3つの質問で「辞めないスタッフ」を見抜く方法
シフト表を組むたびに「また人が足りない」と頭を抱えている店長は多いでしょう。
採用しても1ヶ月で辞める、3ヶ月続かない、忙しい時期に限って辞表を出される。飲食店の慢性的な人手不足の背景には、採用の段階での「見抜けなかった」問題があります。
実は、面接での3つの質問を変えるだけで、離職率を大幅に下げることができるのです。ある都内の居酒屋チェーン(全8店舗)では、この方法で離職率を65%から25%まで改善したという話もあります。
なぜ飲食店の採用は「当たり外れ」が激しいのか
多くの飲食店が採用面接で重視するのは「志望動機」と「シフトの入れる日数」。でも、これだけでは本当に続く人材かどうかは判断できません。
なぜなら、飲食店のアルバイトにとって最も大きなストレスは「人間関係」と「仕事の覚えられなさ」だからです。厚労省の調査によると、飲食業の離職理由の1位は「職場の人間関係」(42.3%)、2位は「仕事についていけない」(31.7%)となっています。
にもかかわらず、面接では「なぜうちで働きたいのか?」「週何回入れるか?」ばかり聞いている。これでは、本当に定着する人材を見抜くことはできません。
ある居酒屋の店長が言っていました。「面接では完璧だったのに、1週間で来なくなった人が何人もいる。何を見れば良いのかわからなくなっていた」と。
離職率40%削減を実現した「3つの質問」
都内で8店舗を展開する居酒屋チェーンの人事担当者によると、面接で聞く質問を変えただけで離職率が65%から25%に改善したそうです。
その3つの質問がこちらです。
1.「今までで一番しんどかった仕事は何ですか?」
この質問で見えるのは、その人の「しんどさの基準」です。「レジが覚えられなくて」と答える人は、複雑なオーダーシステムがある店では苦労する可能性が高い。逆に「お客様からのクレーム対応」と答える人は、理不尽な状況にも対処できる可能性があります。
2.「わからないことがあった時、誰に聞きますか?」
飲食店では「聞きやすさ」が定着のカギ。「先輩に聞く」と即答する人は職場に馴染みやすく、「まず自分で調べる」と答える人は一人で抱え込んで辞めていくケースが多いそうです。
3.「今日の面接、緊張しましたか?」
意外に思えるかもしれませんが、これが最も重要な質問らしいです。「すごく緊張しました」と素直に答える人は、実は職場でも素直にコミュニケーションを取れる傾向がある。「全然緊張しませんでした」と答える人の方が、実は人間関係で躓きやすいのだとか。
面接だけでは終わらない「定着の仕組み」
ただし、面接で良い人材を見抜けても、その後のフォローがなければ意味がありません。
前述の居酒屋チェーンでは、採用後の「初日の過ごし方」も徹底的に見直したそうです。
初日に必ずやることは「持ち物リスト」の渡し。「エプロン、タオル、筆記用具、動きやすい靴」など、当たり前のことでも紙に書いて渡す。これだけで「何を準備すれば良いかわからない」という不安を解消できます。
さらに、初日から1週間は必ず「今日はどうでした?」と声をかけるルールを作った。困っていることがないか、覚えにくいことはないか、毎日3分でも話す時間を作る。この小さな積み重ねが「聞きやすい雰囲気」を作り、早期離職を防いでいるのです。
「採用コスト30万円」を無駄にしないために
飲食店が一人のアルバイトを採用するのにかかるコストは、求人媒体への掲載料、面接にかける時間、研修費用などを合計すると約30万円と言われています。
その30万円をかけて採用した人材が1ヶ月で辞めてしまったら、コストは全て無駄になります。逆に、半年以上続いてくれれば、その投資は回収できます。
問題は「半年続く人材」を見抜けるかどうか。そのために必要なのは、従来の「志望動機重視」の面接ではなく、「その人の性格と職場の相性」を見極める面接です。
今週から試せる採用改善アクション
まず今度の面接から、この3つの質問を必ず聞いてみてください。
- 今までで一番しんどかった仕事は何ですか?
- わからないことがあった時、誰に聞きますか?
- 今日の面接、緊張しましたか?
そして、採用が決まったら「持ち物リスト」を紙で渡す。初日から1週間は必ず「今日はどうでした?」と声をかける。
この小さな変化だけでも、離職率は確実に改善するはずです。
人手不足で悩む前に、まずは「辞めない人材」を見抜く目を養う。それが、持続可能な店舗運営への第一歩かもしれません。