飲食店経営ラボ

飲食店のFLコストって何?50〜60%が適正範囲の本当の意味

月末の帳簿を見て、頭を抱えたことはありませんか?

売上は悪くないのに、なぜか手元にお金が残らない。そんな悩みを抱える店長の多くが見落としているのが「FLコスト」という考え方です。

FLコストの50〜60%という数字、本当に理解していますか?

FLコストとは、Food(食材費)とLabor(人件費)を合わせたコストのこと。飲食店経営の生命線とも言える指標です。

一般的に「売上の50〜60%以内に抑えるべき」と言われていますが、この数字の内訳を正確に把握している店長は意外に少ないもの。Fコスト(原材料費)が20〜30%、Lコスト(人件費)が20〜30%が理想的な配分らしいです。

でも、ちょっと待ってください。

この「適正範囲」、本当にあなたの店に当てはまるでしょうか?立地も業態も客層も違う店舗で、同じ数字を目指すのは正しいのか。実は、多くの店長がこの疑問を抱えながらも、なんとなく「50〜60%以内なら大丈夫」と思い込んでしまっています。

ある居酒屋が人件費を年480万円削減した「意外すぎる方法」

都内で居酒屋を経営するある店長の話を聞いたことがあります。

その店は30席規模で、バイト6名を雇用していました。毎月のFLコストは売上の65%。「ギリギリ赤字じゃないから大丈夫」と思っていたそうです。しかし、ある月の人件費計算で愕然としました。シフト管理だけで月80時間も使っていたのです。

「これって、時給換算したらバイト1人分の給料じゃん」

そこで導入したのが、LINE連携のシフト管理システムでした。紙での希望回収を辞めて、LINEで自動集計。転記作業もゼロに。急な欠勤時の代理募集も、LINEで一括通知できるようになったそうです。

結果として、シフト管理の時間が月80時間から20時間に短縮。浮いた時間で、仕込み業務の外注化や、客単価アップのためのメニュー改良に着手できたとのこと。年間で人件費を480万円削減できた計算になります。

この店長が言っていた言葉が印象的でした。「FLコストの数字ばかり見てたけど、本当の問題は『見えないコスト』だった」

なぜ多くの店が「適正範囲内」なのに利益が出ないのか

FLコスト50〜60%という数字には、実は大きな落とし穴があります。

まず、家賃。都内の駅前物件なら売上の12〜15%、郊外でも8〜10%はかかるでしょう。光熱費、通信費、保険、消耗品費を合わせると、固定費だけで売上の20〜25%は消えます。

つまり、FLコストが60%、固定費が25%なら、既に売上の85%が消失。残りの15%で利益を出さなければなりません。

さらに問題なのは「見えないコスト」です。シフト管理、食材発注、清掃、事務作業。これらの時間コストを時給換算すると、月20〜30万円になることも珍しくないそうです。

ある経営コンサルタントの話では、「FLコスト55%の店でも、見えないコストを含めると実質70%を超えている」ケースが多いとのこと。適正範囲内だと思っていても、実際には赤字すれすれで経営していることになります。

この構造的な問題に気づかないまま、「売上を上げれば解決する」と考えてしまう店長が多いのが現実です。でも、売上が増えても人件費は比例して増加します。根本的な効率化なしに、利益率を改善するのは困難なのです。

今すぐできるFLコスト改善の3ステップ

では、どうすれば良いのでしょうか。実は、FLコスト改善には順番があります。

ステップ1: 現状の見える化 まずは、1週間分の作業時間を記録してみてください。シフト作成、食材発注、清掃、事務処理。それぞれに何時間かけているか。時給換算すると、驚くほど大きなコストになっているはずです。

ステップ2: 最も時間のかかる業務から着手 多くの店では「シフト管理」が最大の時間泥棒になっています。希望回収、転記作業、調整、急欠勤対応。これらを合計すると月20〜30時間になることも。まずはここから効率化を図りましょう。

ステップ3: 浮いた時間を売上向上に投資 時間が浮いたら、必ず売上向上の施策に回してください。メニュー改良、接客品質向上、SNS発信。店長にしかできない仕事に集中することで、客単価や来店頻度の改善につながります。

ある立ち飲みビストロでは、シンプルな業態設計によって坪月商70万円を実現したという話もあります。複雑なオペレーションを避け、人件費を最小限に抑えた結果だそうです。

重要なのは、FLコストの数字だけを見るのではなく、「時間コスト」「業務効率」「売上最大化」を三位一体で考えること。数字の適正化と同時に、店長の業務負担を軽減する仕組み作りが不可欠です。

明日から始められる「隠れコスト」削減法

FLコストの改善は、実は小さな変化の積み重ねです。

まず明日からできることは、「時間の記録」です。スマートフォンのメモ機能でも構いません。シフト作成に何分、食材発注に何分、清掃に何分。1週間記録するだけで、どの業務が時間を奪っているかが見えてきます。

次に、「代替手段の検討」です。毎日30分かけている作業があるなら、月15時間、年間180時間のコストになります。時給1,000円なら年18万円。この金額で解決できるツールやサービスがあるなら、導入を検討する価値があるでしょう。

最後に、「補助金の活用」も検討してみてください。東京都では飲食店向けに最大300万円の補助金が用意されているそうです。キャッシュレス決済導入や店舗改修に活用すれば、初期投資の負担を軽減できます。

FLコストの適正化は、単なる節約ではありません。店長の時間を買い戻し、本当に大切な業務に集中するための投資なのです。