飲食店の店長が休めない本当の理由は「シフト管理の仕組み」にある
月末の金曜日、シフト表を前にまた頭を抱えている。
「今月も俺が出るしかない」。そう思いながら自分の名前をシフト表に書き込んでいませんか?バイトが急に休んだら店長が代わりに入る、希望が集まらなかったら店長がヘルプに回る。気がつけば月の半分以上を店舗で過ごしている店長も少なくないでしょう。
でも本当に、これは「仕方ない」ことなのでしょうか?
店長が休めない3つの構造的問題
「店長が休めないのは人手不足のせい」。多くの店長がそう考えがちです。
でも実際は、人手不足そのものより、シフト管理の仕組みに問題があるケースがほとんどだそうです。ある飲食コンサルタントの分析によると、店長が休めない店舗の90%以上で、以下の3つの構造的問題が見つかっているらしいです。
①希望提出が完全に属人化している
紙で提出する人、LINEで送ってくる人、口頭で伝える人。提出方法がバラバラで、店長が個別に確認・整理する必要がある状態です。
②急な欠勤への対応に仕組みがない
バイトが体調不良で休む時、店長の個人LINEに連絡が来て、店長が他のスタッフに片っ端から電話をかける。これでは店長が休んでいても出動せざるを得ません。
③スキル・時間帯配置が「なんとなく」
ランチピーク時に新人が集中していたり、キッチン経験者がアイドルタイムばかりに入っていたり。計画的な配置ができていないため、オペレーションが不安定になります。
ある居酒屋チェーンの店長が体験した「地獄の3週間」
都内で居酒屋を3店舗展開するチェーンの店長から聞いた話です。
その店長は、月初めにベテランバイト2名が立て続けに辞めてしまいました。急遽、他店舗から応援を頼もうとしたら、他の店舗も同じような状況。結局、3週間連続で休みなしになったそうです。
「最初は『繁忙期だから仕方ない』と思っていました。でも冷静に考えたら、辞めた2人のスケジュールって、実は重複していない時間帯が多かったんです。つまり、本来なら1人補充すれば回るはずだった」
この店長が後で気づいたのは、シフト管理が「人」単位ではなく「時間帯×スキル」単位で考えられていなかったことでした。
辞めた2人のうち1人はランチタイム専門、もう1人は深夜帯専門。でも店長の頭の中では「ベテラン2人がいなくなった」としか認識していなかったため、「自分が全部カバーしなきゃ」という思考に陥ってしまったのです。
「もしあの時、時間帯別の必要スキルが見える化されていれば、ランチは新人でも回せることがわかったはず。深夜だけ自分が入れば済んだ話でした」
シフト管理の仕組み化で店長の時間を取り戻す
では、どうすれば店長が「考える時間」を確保できるのでしょうか。
最も効果的なのは、シフト管理を「仕組み」に変えることです。ある居酒屋では、以下の3つの仕組みを導入して、店長のシフト関連業務を月40時間から15時間に削減したそうです。
仕組み①:希望提出の標準化
全スタッフの希望提出をLINE連携システムに統一。紙の回収や個別確認の工数がゼロになり、未提出者への自動リマインドも可能に。
仕組み②:代打募集の自動化
急な欠勤が発生した時、システムが自動で「○月○日○時〜○時、代打募集」のメッセージをグループに送信。店長が個別に電話をかける必要がなくなりました。
仕組み③:スキル配置の可視化
各時間帯に「必要なスキルレベル」を設定し、適正配置ができているかひと目でわかる状態に。新人だけでピーク時を迎える、といったリスクを事前に防げます。
この店舗では、仕組み導入後に店長が月8日の休みを確保できるようになったらしいです。浮いた時間で売上分析や新メニュー開発に集中した結果、客単価も3ヶ月で約200円アップしたとのこと。
今週から始められる3つのアクション
明日からすぐに実践できることをお伝えします。
アクション①:時間帯別必要人数を書き出す
まず、1週間分の「理想のシフト」を紙に書き出してみてください。各時間帯に本当に必要な人数とスキルレベルを明確にする作業です。これだけで「なんとなく」の配置がなくなります。
アクション②:希望提出の期限を「見える化」
スタッフルームに「シフト希望提出カレンダー」を貼り出し、毎月の締切日を全員が見えるようにしてください。口頭での催促が劇的に減ります。
アクション③:代打要請の定型文を作る
「○月○日(○曜)○時〜○時、体調不良で欠勤です。代わりに入れる方いませんか?時給は○円です」というテンプレートを作成。これをスタッフ全員に共有しておけば、欠勤者自身が代打を探す文化が生まれます。
小さな変化ですが、これらを1週間続けるだけで、店長の「シフトのことを考えている時間」が確実に減るはずです。
大切なのは、店長が現場に入り続けることではありません。店舗の未来を考え、スタッフが成長できる環境を作ることです。そのためには、まず店長自身が「考える時間」を確保することから始めてみてください。