飲食店経営ラボ

【シフト管理のストレス】月末の地獄から脱出した居酒屋店長の「3つの仕組み化」

月末の金曜日。シフト表を前にして頭を抱える店長の姿を、あなたも見たことがあるのではないでしょうか。

「また催促のLINEを送らなきゃ」「この日は人が足りない」「急な休みの連絡が来たらどうしよう」。シフト管理は飲食店経営の中でも、最もストレスの多い業務の一つです。

実際、ある調査によると飲食店の店長は月平均15時間をシフト管理に費やしているそうです。しかし、この時間を3分の1まで短縮した店舗があることをご存知でしょうか。

ある居酒屋店長が体験した「シフト地獄」からの脱出劇

都内で居酒屋を経営する店長(バイト8名)の話です。

以前は毎月末になると、決まってシフト作成に丸2日かかっていました。希望を出さないバイトへの催促、急な休み希望への対応、人数調整のためのやり取り。LINEで個別に連絡し、Excelで手作業で入力。気がつくと深夜まで作業していることが当たり前になっていたそうです。

「店長、来週の火曜日、やっぱり休みたいです」という連絡が入るたびに、「また組み直しか」とため息をついていました。

この状況を変えたのは、たった3つの「仕組み化」でした。現在では月5時間でシフト作成が完了し、バイトからの催促も一切なくなったといいます。

では、何を変えたのでしょうか?

仕組み化①:希望提出の「見える化」で催促作業をゼロにする

最初に取り組んだのが、希望提出状況の可視化でした。

従来は「誰が出して誰が出していないか」を店長が手動でチェックしていましたが、これを自動化したのです。具体的には、提出期限を明確にし、未提出者が一目でわかる仕組みを作りました。

結果として、バイト側も「自分がまだ出していない」ことが分かるため、わざわざ店長が催促する必要がなくなったそうです。催促にかけていた時間は月約3時間。これがまるまる浮きました。

「催促のストレスから解放されただけで、こんなに楽になるとは思いませんでした」と、その店長は振り返ります。

仕組み化②:前月パターンの「微調整方式」で作成時間を90%削減

2つ目の変化は、ゼロからシフトを組むのをやめたことでした。

前月のシフトパターンをベースにして、変更点だけを調整する方式に切り替えたのです。居酒屋の場合、営業パターンは比較的安定しているため、この方法が効果的に働きました。

従来は各曜日、各時間帯に「誰を配置するか」をゼロから考えていたため、1日あたり2時間かかっていました。しかし微調整方式では、変更が必要な部分だけを確認すればよいため、15分程度で完了するようになったそうです。

月7日×2時間=14時間が、月7日×15分=1.75時間に短縮。実に約90%の時短効果でした。

仕組み化③:急な欠勤対応を「30秒判断」にした代替リスト

3つ目は、急な欠勤が発生した際の代替要員確保の仕組み化です。

従来は欠勤連絡が入るたびに「誰なら出勤できるか」を一から考え、片っ端から連絡していました。しかしこの店では、各ポジション・各曜日ごとの「代替可能者リスト」を事前に作成しています。

例えば「木曜日のホール担当が休んだ場合の代替候補は①田中、②佐藤、③山田の順」というリストです。このリストがあることで、急な欠勤連絡を受けても30秒で代替要員に連絡できるようになりました。

「以前は急な休みの連絡が来ると、頭の中がパニックになっていました。今は機械的に処理できるので、ストレスが激減しました」とのことです。

なぜ「シフト管理の仕組み化」が必要なのか?

ここまで読んで「確かに効率的だけど、そこまでする必要があるの?」と思った店長もいるかもしれません。

しかし、シフト管理にかける時間を削減することで生まれる効果は、時短だけではありません。

浮いた時間で、その店長は売上分析や新メニュー開発に取り組むようになりました。結果として、月商は従来比で約15%向上。人件費率も適正化が進み、32%だった数字が28%まで改善したそうです。

つまり、シフト管理の効率化は「経営そのものの質向上」につながるのです。

また、店長のストレス軽減はバイトにも伝わります。イライラしている店長の下で働くより、余裕のある店長の下で働く方が、バイトの定着率も向上する傾向があります。

実際にこの店舗では、シフト管理を改善してから半年間、バイトの離職者はゼロだそうです。

今週から始められる「シフト管理改善」の第一歩

「仕組み化は大切だと分かったけど、何から始めればいいの?」と思った店長に向けて、すぐに実践できるアクションを2つご紹介します。

1つ目は「提出期限の明文化」です。

「今月のシフト希望、いつまでに出してね」という曖昧な伝え方ではなく、「○月○日(水)の23時まで」と具体的な日時を決めてください。さらに、その期限を店舗内に貼り出したり、LINEグループのノートに固定しておくことで、バイト全員が意識できるようになります。

これだけで催促の回数は確実に減ります。

2つ目は「前月シフトの保存」です。

来月のシフト作成時に参考にできるよう、今月のシフト表をコピーして「パターン用」として保存してください。手書きの場合は写真に撮っておく、Excelの場合は別シートにコピーしておくだけで構いません。

次回のシフト作成時に、このパターンを見ながら「ここだけ変更すればいい」という作業に変わるはずです。

どちらも今日から始められることです。まずはこの2つから試してみてください。