飲食店経営ラボ

シフト作成が負担すぎる店長へ。月80時間の作業を4分の1にする方法

シフト管理に月80時間は異常事態。構造を変えれば解決する

月末の金曜日。閉店後の静まり返った店内で、シフト表を前に頭を抱えている店長の姿を見たことがありませんか?

実は、シフト管理に月80時間以上を費やしている飲食店の店長は決して珍しくありません。しかし、これは明らかに異常事態です。本来、店長がやるべき仕事は売上を上げること、スタッフを育てること、そして店の方向性を決めることのはず。

シフト作成に時間を取られすぎて、肝心の経営判断ができない状況は、店にとっても店長自身にとってもマイナスでしかありません。

この問題の根本原因は、実は個人の能力不足ではなく「管理の仕組み」にあります。紙やLINEでの管理から一歩踏み出すだけで、作業時間を劇的に短縮できる現実があることを、多くの店長がまだ知りません。

なぜ多くの店長がシフト管理で消耗するのか

ある居酒屋(25席)の店長は、毎月のシフト作成に丸4日かかると話していました。バイト8名のシフト希望を紙で集め、Excelに転記し、シフトを組んで、また紙に印刷して配布する。この一連の作業だけで、月に32時間を消費していたそうです。

なぜこんなことが起きるのでしょうか。

最大の原因は、希望収集と確定通知が完全に属人化していることです。店長が一人ひとりに声をかけて希望を聞き、手書きでメモを取り、それをExcelに入力する。確定したら再び一人ひとりに口頭で伝える。

この方法では、バイトが1名増えるだけで作業量が等比級数的に増加します。10名のバイトなら45通りの組み合わせを考慮する必要があり、急な変更があるたびに全体を見直さなければなりません。

さらに深刻なのは、突発的な欠勤への対応が完全に店長頼みになることです。誰が代わりに入れるか、スキル的に問題ないか、労働時間は適正かを瞬時に判断し、連絡を取る。この作業が発生するたびに、店長は他の業務を中断せざるを得なくなります。

時短の鍵は「収集の自動化」と「通知の一斉化」

解決策はシンプルです。シフト管理の工程を分解し、それぞれを自動化できる部分とできない部分に切り分けることです。

自動化できる部分:

  • 希望シフトの収集(スタッフが各自入力)
  • 確定シフトの通知(一斉配信)
  • 未提出者へのリマインド
  • 急な欠勤時の代替候補の抽出

人間が判断すべき部分:

  • スキルバランスの最終調整
  • 繁忙時間帯の人員配置
  • 新人とベテランの組み合わせ
  • 売上予測に基づく人数決定

ある中華料理店(15席)では、LINE公式アカウントを活用したシフト管理システムを導入後、作業時間が月80時間から20時間に削減されたそうです。スタッフはLINEで希望を送信し、店長は管理画面で確認・調整するだけ。確定後は一斉通知で完了します。

重要なのは、店長の判断力を必要とする部分に集中できるようになったことです。単純作業から解放されることで、「来月の新メニューに合わせてホールを1名増やそう」「この曜日は客層が変わったからベテランを配置しよう」といった戦略的な思考に時間を使えるようになります。

「バイトがついてこれるか心配」は杞憂だった

シフト管理のデジタル化を検討する際、多くの店長が心配するのが「バイトが使いこなせるか」という点です。

しかし、この心配はほぼ杞憂だと言えるでしょう。現在の大学生・高校生にとって、スマホアプリの操作は日常生活の一部です。むしろ、紙での希望提出の方が面倒に感じている可能性が高いのです。

ある焼肉店(40席)の店長によると、システム導入時にスタッフから出た声は「なんで今まで紙だったんですか?」だったそうです。特に若いスタッフからは「休日に店まで希望を出しに来るのが面倒だった」「LINEで完結するなら楽」という反応が多かったといいます。

実際に導入してみると、希望の提出率も向上する傾向があります。スマホでいつでも入力でき、締切前に自動でリマインドが来るため、「うっかり忘れ」がなくなるからです。

導入のコツは段階的に進めることです。いきなり全機能を使おうとせず、まず希望収集だけをデジタル化し、慣れてきたら通知機能を追加する。このように進めれば、スタッフの抵抗感はほとんどありません。

今週から試せる「脱・紙管理」の第一歩

では、具体的にどこから手をつけるべきでしょうか。

Step 1: 希望収集をLINEグループで試す(今週実行可能) まずは既存のスタッフLINEグループで、希望シフトをテキストで送ってもらう仕組みを作ってみてください。「〇月△日(月)〜□日(日)の希望を、『月:休み、火:17-22時…』の形式で送って」と指示するだけです。

これだけでも、手書きメモからの転記作業は不要になります。

Step 2: 締切日の3日前にリマインド送信 グループに「明日がシフト希望の締切です」とメッセージを送る習慣をつけましょう。これにより未提出者への個別催促が大幅に減ります。

Step 3: 確定シフトの画像共有 完成したシフト表をスマホで撮影し、グループに投稿します。各自が写真を保存すれば、紙の配布は不要です。

この3つのステップだけで、シフト管理にかかる時間は約半分になるはずです。

Step 4: 本格的なシステム検討(来月以降) 手作業の限界を感じたら、専用のシフト管理システムを検討してみてください。LINE公式アカウントと連携できるサービスなら、スタッフの学習コストを最小限に抑えながら、本格的な自動化が可能になります。

重要なのは、今の状況を変えたいと思ったときが始め時だということです。「来月から本格的に」と先延ばしにせず、今週末のシフト収集から新しい方法を試してみてください。

シフト管理の効率化は、店長の働き方を根本から変えます。浮いた時間を使って、スタッフとの面談を増やしたり、新メニューの開発に集中したり、競合店の調査に出かけたり。本来店長がやるべき仕事に専念できる環境を、まずはシフト管理の見直しから始めてみませんか。