飲食店経営ラボ

シフト管理で店長だけが「最終手段」になる不公平を解消する3つの仕組み

「また店長が休日出勤か…」

月曜の朝、スタッフが何気なく口にしたこの一言が、ある居酒屋の店長の胸に刺さりました。

シフト管理における最大の不公平は、店長だけが「最終手段」になってしまう構造です。スタッフは希望休が通るのに、店長は欠員対応で休みが潰される。この状況を「仕方がない」で片付けていませんか?

実は、この不公平は仕組みを変えることで解決できます。

なぜ店長だけが「最終手段」扱いされるのか

「店長なんだから当たり前」

そう思っていた時期が、私にもありました。

でも冷静に考えてみると、これは本当におかしな話です。スタッフは「今月は用事があるので希望休を」と気軽に言えるのに、店長は誰に希望休を出せばよいのでしょうか?

厚生労働省の「令和6年版労働経済の分析」によると、小売・サービス業で半数以上の事業所が人手不足に悩んでいます。この状況下で、店長一人に負荷が集中する構造は持続可能ではありません。

問題は人手不足だけではありません。シフト管理の仕組み自体に「不公平の種」が埋め込まれているのです。

では、この構造的な問題をどう解決すればよいのでしょうか?

解決策1: 急な欠勤対応を店長以外でも回せる仕組み

答えは「代替要員の見える化」です。

都内で焼肉店(28席)を経営するある店長は、こんな仕組みを作りました。

「今日、急にバイトのAが休むことになった。でも私が出勤する必要はなかった。なぜなら、代替要員リストを事前に作っていたから」

具体的には、以下のような対応リストを用意しているそうです:

  • 平日ランチの代替要員: バイトB、バイトC(前日までに連絡)
  • 週末ディナーの代替要員: バイトD、パートE(3日前までに連絡)
  • 調理場の代替要員: 店長、副店長、経験者のバイトF

このリストを作ってから、店長の緊急出勤は月5回から月1回に減ったそうです。

「最初は『そんなリスト作っても、みんな来てくれないでしょ』と思っていましたが、実際は8割の確率で代替要員が見つかります。事前にお願いしておくことで、スタッフも心の準備ができるんですね」

ポイントは、店長を「最後の最後の手段」に位置づけることです。

解決策2: 希望休の「平等ルール」を明文化する

不公平感の根本原因は「ルールの曖昧さ」にあります。

ある中華料理店(15席)では、こんなルールを導入して不公平感を解消しました:

月の希望休上限ルール

  • 一般スタッフ: 月4日まで
  • 副店長: 月3日まで
  • 店長: 月2日まで

一見すると店長の希望休が少なく見えますが、実はここに工夫があります。店長の希望休は「絶対に通す」というルールも同時に設定したのです。

「以前は、スタッフの希望休を優先して、自分の休みは後回しでした。でも『店長の希望休2日は必ず確保する』と決めてから、月末のシフト作成時に最初に自分の休みを固定するようになりました」

この店では、スタッフにもルールを共有しています。「店長にも休む権利がある」ことを明確に伝えることで、協力的になってくれるケースが増えたそうです。

結果として、店長の月間休日は4日から6日に増加。スタッフの満足度調査でも「公平な職場だと思う」が85%に上がりました。

解決策3: シフト提出の「責任分散」システム

シフト管理の属人化も不公平の原因です。

ある居酒屋チェーン(3店舗)では、シフト提出の遅延問題をこんな方法で解決しました。

従来は店長が個別にLINEで催促していましたが、システム化によって自動リマインドに変更。さらに、未提出者の一覧を副店長とベテランスタッフにも共有し、声かけを分散しました。

「『なんで私だけが催促しなければいけないの?』という不満がなくなりました。システムが自動で催促し、現場のスタッフ同士でも声をかけ合う文化ができています」

導入から3ヶ月で、シフト提出率は60%から95%に向上。店長がシフト催促に使っていた時間は月8時間から月1時間に短縮されました。

また、転記ミスによる「出したのに反映されていない」トラブルもゼロになり、スタッフからの信頼も高まったそうです。

この事例のように、技術を活用することで不公平感の原因となる属人化を解消できます。

今週から始められる「不公平解消」の第一歩

まずは、現状の「不公平ポイント」を洗い出してみてください。

以下のチェックリストで、あなたの店の状況を確認してみてください:

不公平度チェック

  • □ 急な欠勤対応は90%以上店長が対応している
  • □ 店長の希望休が通る確率は50%未満
  • □ シフト催促は店長の専任業務になっている
  • □ スタッフは「店長が何とかしてくれる」と思っている
  • □ 店長だけが労働時間の制限を受けていない

3つ以上当てはまる場合は、不公平な構造が定着している可能性があります。

解決の第一歩は「店長の業務を可視化すること」です。1週間、店長が対応した「本来は他のスタッフでもできる業務」をメモしてください。意外なほど多くの業務が見つかるはずです。

そして、その中から「代替要員リスト」「希望休の平等ルール」「催促業務の分散」のいずれか1つを選んで、来月から試してみてください。

不公平な状況は、店長一人では変えられません。でも、仕組みを変えることで、スタッフ全員が責任を分担できる職場に変わります。