月15時間かけるシフト管理は異常?飲食店店長が知らない「時間泥棒」の正体
月末の金曜日、シフト表を前に頭を抱える店長
月末の金曜日。シフト表を前に頭を抱える店長の姿を、どこかで見たことがありませんか?
「バイトの希望が全然集まらない」「来月の売上予測が立たない」「また催促のLINEを送らなきゃ」
でも実は、店長が「忙しい」と感じる本当の原因は、シフト管理だけではないかもしれません。
ある居酒屋の店長が気づいた「時間泥棒」の話をご紹介します。
ある居酒屋店長が発見した「見えない時間泥棒」
駅前で25席の居酒屋を経営するある店長の話です。
毎朝7時に出勤して、まず冷蔵庫をチェック。「今日の分は足りるかな」と頭で計算しながら、卸業者3社に電話をかけるのが日課でした。
「野菜は〇〇商店、肉は△△卸、魚は××市場から」
一見、効率的に見えるこの仕入れルーティン。でも実際に時間を計測してみると、1日平均40分。月にすると約20時間も仕入れ関連の業務に使っていることがわかったそうです。
「シフト管理に毎月15時間かけるのは異常だと思ってたけど、仕入れの方がよっぽど時間を食ってた」
その店長は振り返ります。
なぜ仕入れ管理が「時間泥棒」になるのか?
飲食店の仕入れが時間を奪う理由は、実は3つの構造的な問題にあります。
まず一つ目が「毎日判断」です。毎朝冷蔵庫を見て「今日は何を、どのくらい注文するか」を考える。この判断に毎回5〜10分かかります。
二つ目が「複数業者への個別連絡」。野菜は八百屋、肉は精肉店、魚は市場というように仕入先が分かれていると、それぞれに電話やFAXで注文を入れる必要があります。
三つ目が「在庫管理の属人化」。店長の頭の中にしか「何がどのくらい残っているか」の情報がないため、他のスタッフに任せることができません。
つまり、店長だけが判断できる業務が毎日発生し続ける構造になっているのです。
仕入れの「仕組み化」で時間を取り戻した方法
先ほどの居酒屋店長が実際に試したのは、複数の仕入先を使い分ける戦略でした。
まず、よく使う基本食材(玉ねぎ、人参、豚肉など)は卸業者との定期配送契約に切り替え。毎週火曜と金曜に決まった量が届くようにしたそうです。
一方で、メニューの目玉となる特別食材(旬の魚や特製野菜)は産直や市場から少量ずつ購入。「定番は自動化、特別は手動」という使い分けです。
さらに、急な欠品や売上変動に対応するため、近所の八百屋とも関係を維持。「今日だけキャベツを5玉追加で」といった微調整はここで対応するという3層構造を作りました。
結果として、毎日の仕入れ判断時間が40分から15分に短縮。月20時間が月7時間になり、13時間の時間創出に成功したということです。
「問題意識がない」状態から脱却する第一歩
この話で最も重要なポイントは、店長自身が「仕入れに時間をかけすぎている」という問題に気づいていなかったことです。
「仕入れは店長の仕事だから当然」「毎日やっているから慣れている」と思い込んでいると、改善の余地があることに気づけません。
実際、飲食店の店長の多くが同じ状況にあるのではないでしょうか。シフト管理だけでなく、仕入れ管理、発注管理、在庫管理などの「見えない時間泥棒」が複数存在している可能性があります。
2026年4月から特定技能外国人の新規受け入れが一時停止されるという状況下では、人手不足はさらに深刻化します。店長が属人的な業務に時間を取られている余裕はありません。
明日から始められる「時間の見える化」
では、具体的に何から始めれば良いのでしょうか。
まずは1週間、自分がどの業務にどのくらいの時間を使っているか記録してみることをお勧めします。スマホのタイマー機能でも十分です。
「仕入れ判断:15分」「発注連絡:20分」「在庫確認:10分」といった具合に、業務を細分化して計測してみてください。
おそらく、想像以上に多くの時間を「判断」と「連絡」に使っていることがわかるはずです。
次に、その業務の中で「自動化できるもの」「他の人に任せられるもの」「そもそも不要なもの」を仕分けしてみる。
先ほどの居酒屋店長の例では、基本食材の発注を定期配送に変えることで、判断と連絡の時間を大幅に削減できました。
最後に、浮いた時間を何に使うかを決めることが重要です。店舗の売上アップ施策を考える時間、スタッフとのコミュニケーション時間、新メニュー開発の時間など、店長にしかできない価値創造業務に集中できるようになります。
仕入れ管理の効率化は、単なる時短術ではありません。店長が経営者として本来やるべき仕事に集中するための、経営戦略の一部なのです。