飲食店経営ラボ

なぜ飲食店の店長は「シフト管理に月30時間」も費やしているのか?

毎月30時間。これが飲食店の店長がシフト管理に費やしている平均時間だそうです。

1日1時間として考えても、まるまる1ヶ月の労働時間に相当します。でも不思議なのは、多くの店長がこの時間を「必要経費」として受け入れていること。本当にそれだけの時間をかける価値があるのでしょうか。

30時間の内訳:見えない時間泥棒の正体

シフト管理に30時間もかかる理由を、ある居酒屋チェーンの店長から聞いた話をもとに分析してみましょう。

その店長(30代、バイト12名の店舗)の月間スケジュールはこうでした:

  • 希望提出の催促:週1回×30分=月2時間
  • 希望の転記・整理:月3時間
  • シフト作成(パズル作業):月6時間
  • 確定後の調整・変更:月4時間
  • 急な欠勤時の代役探し:月8時間
  • 人件費計算・確認:月2時間
  • 労務管理(残業時間チェック等):月3時間
  • その他(問い合わせ対応等):月2時間

合計30時間。しかもこれは「順調にいった場合」の数字です。

問題は、これらの作業の大部分が「本来やらなくてもいいこと」だということです。希望の催促や転記ミスの修正、代役探しの電話ラッシュ。こうした作業に追われて、本来の店舗運営に集中できない店長が多いのではないでしょうか。

なぜこんなに時間がかかるのか?3つの構造的要因

では、なぜシフト管理がこれほど時間を食うのか。根本的な原因は3つあると考えています。

まず「情報の分散」です。希望はLINE、確定シフトはExcel、変更連絡は電話。情報があちこちに散らばっていて、それをまとめる作業だけで相当な時間を取られます。

次に「手作業の連続」です。LINEで受け取った希望を手作業でExcelに転記し、手作業でシフトを組み、手作業で人件費を計算する。この「手作業地獄」から抜け出せない店舗が圧倒的に多いのが現実です。

そして「リアクティブな対応」。つまり、問題が起きてから対処する後手後手の管理です。急な欠勤が出てから慌てて代役を探す、希望が集まらないことに気づいてから催促する。予防的な仕組みがないため、常に火消しに追われることになります。

こうした構造を放置している限り、どれだけ頑張っても時間は短縮されません。個人の努力で解決できる問題ではないのです。

ある店長の「革命」:月30時間が月5時間に

都内で焼肉店を経営するある店長は、シフト管理の時間を劇的に短縮したそうです。

その店長によると、以前は毎月末に「シフト地獄」が待っていました。バイト8名の希望を集め、Excelでパズルのように組み合わせ、確定後も変更の嵐。月末から翌月頭にかけて、ほとんどシフトのことしか考えられない状態だったとか。

転機は、シフト管理のデジタル化でした。LINE連携のシフト管理システムを導入したことで、希望の回収から確定まで、すべてがワンストップで完結するようになったそうです。

結果として、シフト管理にかかる時間は月5時間まで短縮されました。削減できた25時間で何をしたかというと、メニューの見直し、スタッフとの面談、競合店の視察。つまり、本来店長がやるべき「売上を上げる仕事」に集中できるようになったのです。

その店舗では、シフト管理の効率化を機に、客単価が約300円アップしたという話も聞きました。店長が現場に集中できるようになったことで、サービスの質が向上し、結果的に売上に跳ね返ったのかもしれません。

今すぐできる「時間泥棒」の見つけ方

シフト管理で時間を無駄にしていないか、まずは現状を把握することから始めましょう。

来月1ヶ月間、シフト関連の作業時間を記録してみてください。スマホのメモ帳で構いません。「希望催促:15分」「転記作業:30分」「代役探し:45分」といった具合に、作業内容と時間を記録するだけです。

1ヶ月後、その記録を見返してください。「こんなに時間をかけていたのか」と驚く項目があるはずです。それが「時間泥棒」の正体です。

次に、記録した作業を3つに分類してください:

  • 必須の作業(シフト作成そのもの等)
  • 効率化できる作業(転記、計算等)
  • 本来不要な作業(催促、修正等)

この分類をすると、意外に「本来不要な作業」が多いことに気づくかもしれません。希望の催促が不要になる仕組み、転記ミスが起きない仕組み、代役が見つかりやすい仕組み。こうした仕組み作りに投資することで、長期的に大幅な時間短縮が可能になります。

シフト管理は「時間をかけるべき仕事」ではありません。効率化して、本来やるべき店舗運営に時間を使う。その発想の転換ができた店長から、経営が改善していくのではないでしょうか。

まずは1ヶ月間、時間の記録から始めてみてください。現状を数字で把握することが、すべての改善の出発点です。